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ランニングパワーとは?その活用法は?

走っているときにどれだけ身体が活動しているかを測定する方法はたくさんあります。ペースが最も一般的です。速く進むには、より強く蹴りだす必要があります。これは簡単で分かりやすいですが、ペースは常にランニング強度の最良の指標とは限りません。上り坂を走ることを考えてみてください。より多くのパワーが必要ですが、ペースは遅くなります。

実は、あなたの走力をより正確に把握するのに役立つ新しい測定基準があるのです。それがランニングパワーです。

簡単に言うと、ランニングパワーは、ランニングのすべての活動に必要なパワーをワットで表したものです。ワット数が高いほど、一歩ごとにより多くの走力を生成できます。言い換えれば、この測定基準は、ランナーがランニングのさまざまな条件やタイミングで消費するエネルギー量を定量的かつ客観的に測定することが出来ます。

もちろん、パワーについては新しいことではありません。サイクリストは何十年もそれを行ってきました。サイクリストにとってパワーメーターがいかに重要かを考えると、ランナーにも同様に普及し始めていることは当然の流れです。

この新しい形式のデータを使用することは、間違いなくランナーに利益をもたらします。また、トレーニングやレースから主観的な予測・思い込みを取り除くことができます。ペース、心拍数、走行距離がすでにわかっている場合は、これらのデータにランニングパワーを加えると、自分の走力のデータを更に正確に把握できます。

ここでは、ランナーがランニングパワーについて知っておくべきことと、距離と心拍数以上のデータ計測がなぜレース・タイムの結果を変える可能性があるかを説明します。

ランニングパワーとは?

基本的に、ランニングパワーとは、ランニング中にどれだけのパワー(体力)を費やしているかをワット単位で測定したものです。

私たちは走りながら力を発生させています。筋肉によって供給されるこの力のほとんどは熱に変換され、熱に変換されないわずかな部分が私たちを前進(走る)させます。

それは走力と呼ばれ、このパワーは、ランナーが特定の瞬間にどれだけの力と速度を発揮しているかを示します。言い換えれば、ランニングパワーとは、どれだけ多く活動をどれだけ速く行っているかということです。

パワーで走る

ランナーにとって、パワー(走力)は、平地であれ上り坂であれ、ランのすべての場面でどれだけ懸命に体が働いているかを測定するための重要指標です。ランニングパワーは、心拍数やペースなどの一般的な測定基準を補完します。ランニングパワーは、心臓の反応ではなく、すべてのステップの実際の出力(蹴りだし力)、または出力を生成するために必要な身体活動から生じる速度 (ペース) を計測するためのものです。

いくつかの例を見てみましょう。暑さ、高度、またはエネルギーレベルは、心拍数に影響を与え、ランニング中の心拍数を通常より少し速く(高く)する要因となります。これが起こると、頑張っていると思うかもしれませんし、心拍数が急上昇しているかもしれませんが、ランニングパワーの数値を見るとそうではありません。心臓の鼓動が速くても、いつもと同じ区間を同じペースで走ると、パワー出力は他の日と変わらないかもしれません。

同様に、上り坂を走るとペースが遅くなり、前進するためにはより多くのパワーを生み出す必要があります。これが重力との戦いです。この状況では、ペースではなくパワーで、ランニングの実際の強度を知ることができます。

ランニング中にパワーを測定データとして使用すると、リアルタイムの走力の分析 (ワット単位で測定) を行うのに役立ち、ピークパフォーマンスに到達するのに役立ちます。

一生懸命頑張っていると思うかもしれませんし、心拍数が急上昇しているかもしれませんが、パワーの数値を見ると、実際にどれだけハードに活動しているか(パワーを出しているか)、またそれが最大限のパフォーマンスにどのように関係しているかを理解するのに役立ちます.

同じペース・異なったランニングパワー

サイクリングとは異なり、ランニングのパフォーマンスはアスリートの体力に大きく影響されるため、ランナーの身体的効率・パフォーマンスを詳細に測定することができます。ランナーが走り方を変えた場合には、それによるパフォーマンスの変動について客観的に測定・評価することができます。

例:

  • 2人のアスリートが同じペースで、全く異なったパワーで走ることができます。
  • 2人のアスリートがまったく同じパワーと同じ体重で、全く異なるペースで走ることもできます。

ランナーが走るためには、脚と足から地面に力を押し込み、体を空中に持ち上げる必要があります。この空中リフトはランニングに必要ですが、ランナーが空中であまりにも高く上がると、速く前進するのに役立ちません。 前進ではなく上昇してしまいます。

動きは横方向にもできます。ランナーが行うテクニックの変更は、自分の運動力を前進させることにフォーカスすることでより効果的になる可能性があります。フットストライク、上半身の位置、およびランニングテクニックの他の多くの小さな変更により、同じパワーが効率的に得られ、より速くなります。

ランニングパワーはどのようにパフォーマンスアップに役立つのか?

トレーニング指標としてランニングパワーを使うことの利点は、自分の体についてさらに理解を深めることによりパフォーマンスをアップすることが出来ることです。トレーニング中の効率を示すことができ、それに応じてトレーニング、フォーム、テクニックを微調整するのに役立ちます。(ご自身だけでなくコーチの方も)

心拍数が低いほど、より多くのパワーを出力していることに気付くかもしれません。これは、ランニング効率が向上したことを示す指標です。長い目で見れば、フォームを微調整することで、より効率的にパフォーマンスを改善できる可能性があります。

さらに、パワーは心拍数やペースだけでなく、体感される運動量にも活用できます。具体的な数値で多くの自身のパフォーマンス(ランニングパワーや VO2 max)のデータを手元に持つことは、効率的なトレーニングにつながり、より良い結果につながります。

ランニングパワーと重力との闘い

ランニングパワーは、通常のランニングペースよりも運動強度の面では優れた指標です。

たとえば、上り坂でも同じパワーを維持できますが、上り坂と平地で同じパワーを維持すると、上り坂の部分が遅くなります。ただしこの場合、重力との戦いが顕著になったためペースが遅くなったにもかかわらず、同じ運動量と強度で取り組んでいることになります。

下り坂を走る場合はその逆です。ペースは大幅に上がる可能性がありますが、下り坂では重力との闘いが少なくなるため、前進するための運動量は少なくなりますので、ペースが上がっても、運動量と強度は低下します。   特に丘陵コースでは、ペースは強度を測定するのに効果的ではありません。

また、コースやトラックで特定の距離または時間で行うインターバルトレーニングにもランニングパワーが活用できます。インターバルで速く走るかもしれませんが、そのペースをずっと維持しているわけではなく、ペースダウンも考慮します。トレーニングのペースは、走っていない、歩いている、ジョギングペース等のペースダウンの時間帯も影響を受けます。アップダウンのあるコースだと、ペースのバリエーションが増えます。

ランニングパワーは、ペースダウンやアップダウンの変化を考慮しており、ペースよりもはるかに効果的な指標です。

ランニングパワーと心拍数

ランニングのパワーとペースを心拍数データと組み合わせることで、ランナーに有益で独自の改善の機会を提供できます。

このデータから得られる利点は、ランニングパワーの小さな変化が心拍数の大きな上昇または低下につながる可能性があるタイミング・状況を把握できることです。このタイプのデータは、暑いコンディションや、ペースを維持するのが難しい長時間のレースで非常に役立ちます。

アスリートがより多くの心拍数とパワーのデータを集め始めると、このデータの関係性と指標が変化する重要なポイントが明確になる可能性があり、トレーニングとレース戦略を考案してパフォーマンスを最大化することができます。

ランニング中に一般的な有酸素パワー値を維持するために必要な特定の心拍数に気付いた場合、有酸素運動能力の改善が見られます。ペースはアップダウンのある場所ではGPSエラーの影響を受ける可能性があるため、これはペース/心拍数の比較よりも客観的で有効なデータです。

パワーがあれば、上り坂でもパワー/心拍数の比率に影響を与えることなく、ペースを落とさずに走ることが出来ます。

パワーがあれば、上り坂でもパワー/心拍数の比率に影響を与えることなく、ペースを落とさずに走ることが出来ます。

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ランニングパワーで走りをサポート

Polarは、2018年にPolar Vantage V マルチスポーツウォッチで世界初の手首ベースでランニングパワーを測れるウォッチを発表しました。それ以来、Polar Vantage V2、Polar Grit X Pro、Polar Pacer Pro などの多くのウォッチで、手首から直接パワーを測定できるようになりました。

この指標を使用して、さまざまなパワーゾーンに従うことで、あなたのランニングをガイドしてくれます。

この機能の使い方は簡単で、他のトレーニング指標を見るのと大差ありません。ランニング用にさまざまなトレーニングビューを設定できます。これには、ランニング中に見たい時にパワー出力をワット単位で表示するパワーメトリックが含まれます。ウォッチには、最大パワー、平均パワー、ラップパワーなどが表示されます。リアルタイムでのパワーゾーンも表示されるので、常に適切な強度で走ることができます。

次に、ランニングパワーゾーンを設定してトレーニングセッションをガイドする方法を見てみましょう。

最大有酸素運動パワーを測定する

心拍数トレーニングと同様に、ランニングパワーを使用したトレーニングは、最大有酸素運動パワー (MAP)  を使用して確認することが出来るパワーゾーンに基づいて行われます。

最大有酸素運動パワーがわからないが、VO2maxはわかっている場合は、「身体情報設定」でウォッチ及び Polar Flowアプリ上で更新すると、VO2maxに基づいて最大有酸素運動パワーが推定されます。

最大有酸素運動能力(MAP)を推定するテストもあります。:

  • MAPは平均6分間維持できるため、6分間のタイムトライアルランで推定できます。
  • テストを完了するには、6分間、できるだけ速く走ります。
  • テスト終了後、MAPに相当する平均パワーを確認します。
  • 次に、パワーゾーン設定で MAPを更新します。

すべての設定が完了したら、各パワーゾーンの内容を見てみましょう。

ランニングパワーゾーンを設定しよう

ランニングパワーゾーンには各自の目的に応じた5つのゾーンがあります。

ゾーン 1: 最大有酸素運動パワー 55%–70%

  • このゾーンは、低強度のランニング及びリカバリー用のランニング用です。ゾーン1で走ると、基礎持久力が高まります。

ゾーン 2: 最大有酸素運動パワー 70%–85%

  • こちらはマラソン(長距離)ゾーンです。このレベルは最大1時間連続して(又は1.6km走を4回)維持できるはずです。
  • ゾーン1と2はトレーニングの基本です。トレーニングのほとんどをこれらのゾーンで行うことを基本的に目指します。レースに参加している方で、ペース的に不十分な方は競技シーズン中はこのゾーンでのトレーニングを減らしてください。

ゾーン3: 最大有酸素運動パワー 85%–100%

  • 最大酸素摂取量 (VO2max) を改善します。このゾーンでは、4~6分のインターバル走を完走できる強度です。
  • ゾーン3はトレーニングシーズン用です。1か月に1回は、このゾーンでのトレーニングをトレーニングプログラムに含めてください。

ゾーン4: 最大有酸素運動パワー 100%–115%

  • このゾーンは、長い距離のインターバル走 (150~600 m) に使用し、筋肉に大きな負荷を与えて乳酸蓄積の兆候が表れます。
  • ゾーン4は、競技に参加するレベルのランナー向けです。それ以外のランナーも、ゾーン4でトレーニングをして良いですが、筋肉が疲労感を強く感じたり、ランニングがつらく感じられる事があるのでお気を付けください。

ゾーン5: 最大有酸素運動パワー 115% 以上

  • 短距離でのインターバル走(< 150 m) での最大出力を向上させます。
  • ゾーン5は誰でも行うことは可能ですが、平坦な地形を走る場合はこのレベルへの達成が難しい場合があります。アップヒルを活用することでゾーン5に到達しやすくなります。

手首でのランニングパワーの測定

手首でのランニングパワー測定では、別のフットポッドやパワーメーターは必要ありません。対象のスポーツウォッチは、ランニング中に手首から自動的にランニングパワーを測定します。

時計を見てランニングパワーの数値を確認できることは、インターバルトレーニングやヒルランニングに特に役立ちます。

インターバルトレーニングは効果的で楽しいです。より効率的にけがをしないようにするために、次のアドバイスを心に留めておいてください。

インターバルトレーニング中は、各インターバルでランニングパワーを一定に保つか、最後のランニングに向かってパワーをわずかに上げてください。こうすることで、筋力の限界に達することなく、正しいランニングテクニックを維持できるため、ランニングでの怪我を防ぐことができます。

最後のランに向かって進むにつれて、心拍数が増加する可能性があることに注意してください (以下のグラフを参照してください)。これは正常な傾向であり、各ワークアウトの長さと回復間隔によって異なります。

例:一定のまたは減少するパワーでの心拍数とインターバルトレーニングでの推移

最大のパワーを獲得する: 起伏のある地形での走行

最大のパワーを得るには、できるだけ多くの筋肉量を活性化させる必要があります。きつい勾配の坂を上ることでより簡単に行えます。平らな地形を最高速度で走っていても、最高のパワーを発揮することはできません。

下り坂を走ると、上り坂を走るよりも筋肉がより大きな力を発揮するようになります。したがって、上り坂よりも下り坂の方がパワーは少なくなりますが、下り坂では筋肉により多くの負荷がかかります。

上り坂よりも下り坂の方が生成するパワーは少なくなりますが、下り坂では筋肉により多くの負荷がかかります。

起伏のある場所でのトレーニングの24~48時間後に筋肉痛が発生することがありますが (遅発性筋肉痛として知られています)、その痛みは無害であり、筋肉がより疲労に強くなる可能性があります。

全体として、起伏のある地形でのランニングは、すべてのランナーにとって優れたトレーニング方法で、平地でのランニングとは異なる種類の負荷を筋肉にもたらします。

ランニングパワー計測をPolar Pacer Proで体感しましょう!

Polarウォッチでは、気圧センサー付きの上位機種では手首でのランニングパワーが計測できました。 2022年のパワーメーターを内蔵する最新モデルであるPolar ペーサープロでも測定が可能になりました。これは、ポラールのランニングウォッチのラインナップに追加された最新モデルです。 Polar ペーサープロは更なる向上を目指すシリアスランナー向けの機能を搭載し、ランナーの使いやすさを追求したモデルです。Polar ペーサープロには、ランニングパワーを含め、トレーニングをサポートしてより優れたランナーになるために必要なすべての機能が備わっています。

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ポラールのブログで紹介される内容は、必ずしも全ての方に当てはまるわけではございません。新しいトレーニングを試す際には、事前に医師やトレーナーと相談してください。

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